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指導主事はどんな力をつけるべきか2

 徳田です。
昨日のメールの続きです。
 私は書きました。

 >  例えば、1の「授業論」については、次のようなことがコメントできないと
 > いけないと思っています。(指導主事の先生が)
 >
 >  1 個々の「授業行為」「指導言(発問・指示・説明等)」レベルのコメント
 >  2 1時間の「授業の組み立て」レベルのコメント
 >  3 一単元の「単元の組み立て」レベルのコメント
 >  4 「なぜその単元が子どもたちにとって大事なのか・必要なのか」という
 >   単元選定・教材開発レベルのコメント
 >  5 「どのような教育が大事なのか・必要なのか」という教育課題・教育の
 >   行い方レベルのコメント
 >
 >  特に、1のコメントは、授業検討会では1番欲しいコメントです。
 
 ここで私が書きたかったことは、次のようなことです。

  どのような力を、指導主事の先生はつけるべきか
    〜指導主事になったらつけるべき「力」とは?〜
 
 その一つを次のように考えます。
 
  「個々の授業」「個々の教材」について、その「分析したことを語る」ことがで
 きる力。「代案を示す」ことができる力
 
 このような「力」が、指導主事の先生には欲しいところです。
 あくまでも「個々の授業」「個々の教材」についてです。
 つまり、総論ではなく、各論を語れる力です。
 
 「具体的に」「分析的に」「優れた実践を導くように」、各論を語れる力を指導
主事の先生はつけるべきだと考えます。

 私が示した○○氏への代案、拙いものですが、少しはその「各論」で語って
いると思います。
 
 次の代案でした。


  ○○氏の「発問・指示」

    発問 パスをするときの手の形は、どれがいいでしょう。

       1 「ハ」(実際には黒板に手の形を書いて)
       2 「||」
       3 逆「ハ」の字

  私の代案

     1 「パス」をするときの手の動作には、次のような働きがある。
     (1) ボールを受け止める 
     (2) 自分のねらった方向・ねらった角度にボールを送る。

     2 この「パス」で、大切なのは「自分のねらった方向・角度で
    ボールを送れること」だ。
    
    3 つまり、ボールをうまくコントロールできることだ。
     自分のねらった方向・角度にパスできることだ。

    4 遠くにパスしたり、近くにパスしたり、高い角度でボールを送
    ったり・・・・、そのようにボールをうまくコントロールできること
    だ。

    5 多分、○○氏の意図する発問・指示とはそういうことでは
    なかったのか。
     つまり、「パスのときの、ボールをうまくコントロールできる、手
    の形」に気づかせたかったのでないか。

    6 そうすると、自然と発問・指示は決まってくる。
     次の通りである。

        発問  パスをするときに、ボールをうまくコントロールできる
        手の形はどれでしょう。

    7 このとき、実際に実演しながら発問・指示をするとよい。

 箇条書きに番号を打って書いたのには、意味があります。
 もう気づかれたかもしれませんが、1〜7は「語っている文」のカテゴリ
ー(意味範囲)が違うのです。
 その違いをはっきりさせるべく、箇条書きに番号を打って記しました。
 つまり、1〜8はそれぞれ次のことについて述べています。

  1 「『パス』という運動行為(教材)」の機能・働き
  
   2 どのようなパスがいいのか、「パスの果たすべき役割」
  
  3 パスをする行為者が果たすべき、「望ましい運動行為」

  4 3の「運動行為の具体例」

  5 望ましい運動行為を引き出すための「動作」(手の形)
    それに気づかせることを意図した授業者の発問
  
  6 5の望ましい運動行為を引き出す「動作」に気づかせるための
   代案となる発問

  7 6の発問の提示の仕方(どのような授業行為のもとに発問する
   のがいいのかという)
 
 上の1〜8をもう少し整理すると次のようになります。
 
  1〜4・・・・教材について分析したことを語った文
  5・・・・・・・授業者の発問の意図を想定・分析した文
  6・・・・・・・代案そのもの

 上の1〜8の文を読んだら分かるように、「代案を示し、その根拠を
語ること」が、自然と「教材分析」「教材研究」「指導言」「授業行為」の
話にまで及んでいきます。

 つまり、各論を語っているうちに、具体的に・分析的に・実践を導く
ように語っているうちに、総論にまで話が発展していきます。

 
(続く)